Q夫はいつも帰宅が遅く、ほとんど会話もありません。夫の定年を機に離婚をしたいと考えていますが、離婚は可能でしょうか。
当然に離婚ができるわけではありませんが、すでに別居しているなどの事情がある場合には、婚姻生活が破綻しているとして離婚できる余地があります。ご相談はこちらへ(リンク)
〔解説〕
(1)夫にとっては、定年後は妻と二人で生活するつもりでいたのに、突然、妻から離婚を切り出せれ、理解できずにうろたえるだけでしょう。夫にとっては定年で会社を辞め、拠り所を失うとともに、同時に家庭をも失うことになり、何もかも失うことになるわけです。夫にとっては納得のいかないことでしょうから、離婚の話し合いもつかず、裁判所で調停あるいは裁判での解決に委ねざるを得ない可能性が高いでしょう。
(2)結婚して30年以上経ち、独立して生活している29歳と27歳の子どもがいる夫婦で、妻からの「離婚を継続し難い重大な事由」を理由とする離婚請求事件において、裁判所は、「離婚に反対している夫が反省すべき点を十分に反省すれば、妻との婚姻生活の継続は可能である」として、離婚を認めなかった事例もありますが、要は、あなた方夫婦の婚姻生活が破綻しているか否かによります。すでに別居しており、あなたの離婚の意思が固い場合には、修復できないほど破綻しているとして離婚が認められる可能性が高いでしょう。ただ、離婚が認められても、夫に対する慰謝料請求が認められるかどうか、お金の問題は別ですので頭に入れておいて下さい。
(3)夫が厚生年金を受給している場合、結婚していれば夫が死亡しても、妻は遺族年金を受給できますが、離婚してしまうと、夫の死亡による遺族年金の受給権はなくなります。なお、離婚時年金分割制度が新しく設けられ、平成19年4月1日以降の離婚より適用されるようになりました。分割の対象となる年金は、厚生年金、共済年金等です。夫婦共稼ぎで、ともに厚生年金の受給対象である場合、妻のほうが収入が多いと、逆に妻が損をするケースも出てきます。女性にとって一方的に有利な制度ではありません。