Q胎児は相続人となることができますか。胎児の相続登記手続きは、どうしたらいいですか。
①胎児は、相続については生まれたものとみなされる。
②胎児を含む共同相続人全員による法定相続分の登記を申請できる。ただし、胎児が死体で生まれたときは、胎児は相続人とならないので、すでになされた法定相続登記を更正しなければならない。
〔解説〕
(1)胎児の相続能力について、登記実務では、胎児は相続が生じたときから相続人となるが、死んで生まれてきた場合にはさかのぼって相続能力を失うという法定解除条件説をとる。
(2)この法定解除条件説によれば、胎児であっても共同相続登記によって登記名義人となることができる。ただし、先例は、胎児の出生前においては相続関係が未確定の状態にあるので、胎児のために遺産分割その他の処分行為はできないとしている。また、先例は、未成年者の法定代理の規定が胎児にも類推適用されて、胎児の母親が法定代理人となって相続登記を申請できるとしている。
(3)胎児を含む共同相続登記がされている場合において、胎児が死体で生まれてきたときは、胎児の権利能力は遡及的に失われので、すでになされている胎児を含む共同相続登記事項のうち、胎児の相続分を抹消しなければならない。胎児の相続分は他の共同相続人い帰属するから、所有権の更正登記を申請することになる。