Q養子縁組当事者の一方の死亡は、縁組の解消事由となりますか。---養子問題は,むさしの森法律事務所へ
養子縁組の一方の死亡は、縁組の解消事由とはならないのです。
養子縁組当事者の一方の死亡後に離縁するためには,死後離縁の手続きをする必要性があります。
1 民法ではどのようになっていますか。(クリックすると回答)
養子・養親共に生存中は,養子縁組は,離縁によって解消します。
しかし,養子縁組の当事者の一方(養親又は養子)が死亡しても養子縁組は当然には解消しないものとして生存当事者からの離縁(死後離縁)手続きをとらなければなりません(民法811条6項)。
なお,死後離縁には,家庭裁判所の許可が必要とされています。
また,昭和62年の改正によって,養親の死亡の場合のみならず,養子の死亡の場合にも死後離縁が認められています。
2 どのような理由で死後離縁には家庭裁判所の許可が必要なのでしょうか。(クリックすると回答)
2つの考え方があります。
1は,一方の死亡では当然には養親子関係は消滅せず,死後離縁によって初めて消滅するというものです。
2は,一方の死亡で当然に養親子関係は消滅して,死後離縁は,離縁によって生じていた法定血族関係を終了させるものであるというものです。
理論的には,2が正しいとされていますが,民法の立法者は1と考えていたようです。
1の考え方に基づくと,死後離縁は,一方的な意思表示による離縁を法律で特別に設けたものと言うことになります。
3 家庭裁判所が許可をするのはどのような場合でしょうか。(クリックすると回答)
養親から多くの財産を相続しながら他の親族の扶養をしない場合,養子に看病されながら,養子の子の扶養を免れようとした場合が例となります。
なお,養子の死後に養親からの死後離縁については,養子の子への代襲相続を消滅させることになるために,慎重な判断をするとされています。