Q会社所有のビルに抵当権を設定して銀行から融資を受けたいのですが,融資後はどのような制約があるのですか。---中小企業支援は,むさしの森法律事務所へ
会社所有のビルに抵当権を設定しても,銀行から何ら制約を受けることはなく,いままでどおり使用収益することができます。
しかし,支払が滞ったりすると,問題が生じます。また,ビル以外のものを担保にする方法主検討しましょう。
抵当権とは担保不動産(本件の場合は会社所有のビル)の交換価値(売却によって得られる価値)を優先的に確保する権利です。
その反面,担保不動産の使用価値(利用によって得られる価値)については,担保提供者(本件の場合は会社)が自由に利用できる権利を留保しているのです。
したがって,会社のビルに抵当権を設定しても,テナントの賃料については会社自体が取得することができ,また,誰にどのような形で貸すかも原則として,会社の自由であり,銀行の了承をとる必要はありません。
しかし,銀行とトラブルが発生して,銀行に嫌がらせをする目的でテナントの一部を占有屋に貸したりした場合は,その契約自体が否定されることはあるので,注意が必要です。
2 銀行らの融資を返済できないとビルはどうなりますか。(クリックすると回答)
会社は,原則として自由に所有するビルを使用収益することができますが,会社が融資返済金の支払いを怠ったり,遅延したりした場合に問題が生じます。
抵当権者(銀行)において融資金の回収に向けた手段を講じることができるからです。
その典型が抵当権に基づく不動産競売請求であり,その手続きが行われれば,最終的にビルは第三者の手に渡ってしまうのです。
3 ビルへの抵当権実行前に,テナントからの賃料には影響ありませんか。(クリックすると回答)
抵当権者(銀行)は競売の前段階においても融資金回収に向けた手段をとることができ,その方法としてテナントの賃料についての差押え手続きがあります。
この差押え手続きがとられた場合,テナントは銀行に賃料を支払わなければならなくなり,その結果,当然会社は賃料請求ができなくなり,会社の賃料収入が途絶えることになります。
4 融資を受けるに際して,ビル以外に担保を設定する方法にはどのようなものがありますか。(クリックすると回答)
融資を受けるための,担保設定の方法として,会社所有の工場全体(工場の土地・建物,機械一式)に抵当権をつける方法や,ゴルフ会員権や株式について担保権を設定する方法もあります。