Q母が亡くなり,兄と私の2人が相続人となり,兄が相続放棄をすることになりました。ところが,遺産である不動産について私の単独名義の登記をする前に,兄の債権者が代位登記をした上で,兄の法定相続分の仮差押をしてきました。どうなるのでしょうか。---相続解決は,むさしの森法律事務所へ
結論としては,あなたは,不動産すべてがあなたの単独所有であることを兄の債権者に主張することができます。
共同相続人の1人が相続放棄をした場合,相続放棄をした相続人は,その相続に関しては,初めから相続人とならなかったとみなされます(民法939条)。
相続放棄により他の相続人が取得することになった法定相続分を超える当該不動産の持分について,放棄した相続人から取得したと考えれば,その権利取得を第三者に対抗するためには登記が必要であるとも考えられます。
この点に関し,判例は,相続放棄は相続人の利益を保護しようとするものであって,その効果は相続開始時に遡り,かつその効果は絶対的であるとして,相続放棄による権利取得は登記なくして第三者に対抗し得るとしています(最二小判昭和42年1月20日)。
したがって,相続放棄により兄は当該不動産については無権利者となりますから,兄の債権者のした仮差押えも無効ということになります。
なお,相続放棄があった場合,他の相続人は相続放棄申述受理証明書を添付して「相続」を登記原因として被相続人からの移転登記手続きをすることができます。
また,すでに法定相続分にしたがった相続登記がなされている場合には,更正登記手続きをすることになります。
登記手続きも含めて,ご相談下さい。