Q ブラック企業につとめている人の会社に対する戦い方はどのようなものがありますか。---労働問題は専門の むさしの森法律事務所へ
いきなり,難しい問題設定で,回答に困っています。正直なところ。
ブラック企業とは,どういう会社でしょう。
巷では,はっきりと名指しされているところや,ベストテンの投票も行われています。
ある意味では,そこまでくれば,さすがに分かります。
実は,ブラック企業というのはいくらでもあると,思います。小さい故に見過ごされている場合も多いのではないでしょうか。つとめている人も,みんなこんなものかと思っているかもしれません。
思いつきですが,ブラック企業と言えるものの目印になるものを挙げてみました。
1 違法行為をしているところ→これは論外ですが。真っ黒で犯罪集団です。
2
違法行為とまで言えないが,営業活動などに強引さがある。
これらは,対外的なものですが,従業員に対して次の場合には要注意ではないでしょうか。
3 勤務形態について社員と言っておきながら,無理矢理,あるいは,しつこく業務委託契約もしくは,請負契約という書類にしきりにサインをさせようとする。
4
労働時間の管理が自己責任あるいはフレックスと言っているが,確たる書面もなく,結局は残業代をできるだけ支払わないようにする。この場合には,賞与もどんぶり,賃上げなどもってのほかという傾向があります。
5
社員のノルマについて,自己申告のかたちで,できるだけ多めに(あり得ないくらいに無理に)設定するように仕向ける。
6 雇用が不安定であることを必要以上に言い続けて不安をあおり立てる。
7 社員が会社の外で集まることを必要以上に警戒して,私生活に干渉する。
ベストテン等に挙げられている「名うての」ブラック企業に共通して言えることは,長時間,低賃金(額面のみならず,時間単価にして)です。
そして,自己責任の名前で社員一人一人がばらばらにされて,不安をあおり立てられていることです。
様々な策を用いていますので,詳細を述べていけばバリエーションもあり,そのやり方の分類をここですることは意味がありません。
ブラック企業では,定着率が悪かったり,メンタル疾患者が出たり,最悪の場合には過労死・過労自殺が出たりしています。
それでも,ブラック企業は存続するか,都合が悪くなると,一旦はつぶして名前を変えて,復活してきます。損するのは,働いている人ばかりですね。
結論を言えば,そんな会社は辞めてしまえば,ということになってしまいそうです。
しかし,その前に,ちょっとだけ前に進みませんか。
それは,法律家である弁護士が言うのも変かもしれませんが,労働組合を作るか,あるいは,一般労組・地域労組といって企業内ではなく個人加盟ができる労働組合に加入することです。
そして,できれば,同じ職場で労働組合を作ることです。
その上で,団体交渉を申し入れることです。
そんなことしても大丈夫かって,これらは,法律はもちろんのこと,憲法でも保障されていることなのです。
もし,解雇を言われそう,あるいは既に言われたり,賃金が不当にカットされたり,残業代が支払われていなかったり,そんなこんなで,いい加減にいやになっていても,もう一踏ん張りがんばってみませんか。
労働組合への加入とか,作り方,そしてその後のことについて,もし分からないことがあれば,法律的な知識と労働組合の心当たりでよろしければ,お手伝いはできそうです。
ご連絡下さい。
喜んでお手伝いしますよ。
そうは,言っても実際にはそれができれば苦労はしません。
労働組合なんて,チョー面倒だし,そこまでは考えていない,という人が圧倒的でしょう。
そうであれば,もう一つ,私たち弁護士に相談して下さい。
労働基準監督署への告発あるいは,会社への裁判,そして,必要あれば労働組合についてもアドバイスします。
くれぐれも,ひとりぼっちにならないで下さい。