Q妻が50歳代で若年性アルツハイマー型認知症にかかってしまって,夫が介護と仕事の両立で疲れ果てている場合に,離婚の請求は認められますか。---離婚解決はむさしの森法律事務所へ
認知症の発症は,決して珍しいことではありません。また,認知症に限らず精神的疾患を発病することは,大いにあり得ることです。
設例では,妻の発症ですが,逆に夫が発症することもあり得えます。夫婦である以上は,相互に助け合うべきであるというのは当然とも言えるし,そうは言っても理想論ではないかとの意見ももっともです。
つまるところ,妻(あるいは夫)の生活の安定と病気となった妻(あるいは妻)の将来とをどのようにバランスを取るかの問題です。
法律的には,「配偶者が強度の精神病にかかり,回復の見込みがないとき」は,離婚の請求が認められるしています(民法第770条1項4号) 。
他方では,そのような事由があっても「一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは,離婚の請求を棄却することができる」としています
(民法第770条2項) 。
認知症の場合は,「強度の精神病」ということに該当するのかどうかには疑問がある事例が多いと思われますし,あるいは,離婚後の認知症者の介護の受け皿が整っていない場合には,裁判所としても離婚を認容するのは躊躇すると思われます。
介護施設への入居可能性,それまでの他方配偶者の努力等を総合判断して考えていくものと思われます。