Q離婚に際して,未成年者の子どもがいる場合には,その親権者はどの様な基準で決められるのでしょうか。---離婚解決はむさしの森法律事務所へ
親権者の具体的な決定基準というのは,調停,審判,裁判となった際に具体的には問題になります。
以下の様々な基準から総合的に判断されると言えます。
1 現実の養育を継続すると言えます。
それは,子に不必要な不安を与えないために,現実に養育している側を親権者とする傾向にあると言えます。
2 母親を優先すると従来は言われていました。
乳幼児については,特に,母子関係を重視して母親優先と考えられておりました。
したがって,母親の素行等の問題と言った特別な事情がない限り父親が親権を取ることは困難とされていました。
しかし,一定の成長をしている場合,あるいは乳幼児においても,親子関係のあり方が変化している今日にあって,この母親優先の考え方についても,変化していく可能性があります。
3 兄弟姉妹の分離について
兄弟姉妹を分離させないと言うことが原則です。離ればなれで生育することは,まさに親の都合とは言え,極めてマイナスの影響が大きいからです。
しかし,この点も,夫婦の別居に伴い,既に離ればなれで養育される既成事実があるような場合や,子どもの年齢等から見てその意思を尊重すべき場合には事情は異なってくると考えられます。
4 有責性がある配偶者について
よく問題となるのは,夫婦間の有責性で不貞をした配偶者に親権は渡せないという主張が妥当かどうかです。
例えば家族を顧みないで別居期間が長期に及んでいるような場合には,その主張も該当する可能性が高いと言えます。
しかし,有責性はあくまでも夫婦間の問題であり,親子関係とは別であると言えます。
あくまでも,子ども福祉との関係で親権者として相当であるかの判断の1要素に過ぎないと言えます。
5 子の意思の尊重について
法律上は,15歳以上の子の陳述と言うことで,その意見ないし意向を裁判所は確認することになっています。
また,15歳未満であっても,可能な限り意思を尊重する運用をしているようです。