Q離婚した後に,親権者となった子について,離婚した時点に遡って養育費を請求することができますか。---離婚解決はむさしの森法律事務所へ
まず,養育費の請求は,養育を受ける子の権利です。それを親権者が法定代理人となって請求するのです。
法律的に言えばそうなるのですが,形からすると,例えば母親が親権者となっているとすれば,前妻が前夫に請求することになるため,離婚の事柄の蒸し返しのように見えてしまいます。
結論から言えば,扶養が必要な未成熟子であれば,養育費を両親の離婚後であっても請求できます。
問題は,離婚した時点に遡って請求できるかどうかです。
これについては,考え方が分かれています。
扶養権利者である子が請求した時点で初めて権利が具体化するという考え方によれば過去に遡ることはできないという結論になります。
これに対して,それは余りにも形式的であり,扶養が必要な子がいて,その扶養が可能であったならば過去に遡ることを認めるべきであるという考え方もあります。
かつては,前者が有力と言うよりも主流であったと筆者は考えていました。
しかし,請求するまでの間に生活を維持すること自体が困難になり借金をしたり,あるいは,未成熟子に苦労を強いたということは容易に想像がつきます。
過去に遡る審判例も最近では多くなっていると言え,実務的にも遡った分を上乗せするなりして解決する傾向にあると思われます。